乱読サラリーマンのオリジナル書評

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書評:流星ワゴン

流星ワゴン (講談社文庫)

 

過去は変えられないけど明るい未来を築くためには人はどうすればよいのか・・・

冒頭のテーマを不思議な3組の父子の物語を巡って紐解いてみよう。

 

一組目は既に家庭崩壊が突き進み受験に負けた子供とリストラにあい死のうとしている父子。二組目は前述のリストラにあった父と、なぜか同い年として降臨してきた厳しい親父。そして上述の二組の父子を人生のターニングポイントへタイムマシンの操縦者のように連れていく役目を悲しい交通事故で亡くなり幽霊となった父子が務める。

 

死のうとしていた永田一雄は5年前に事故で亡くなった幽霊父子のワゴン車(タイムマシン)に乗車して過去の人生のターニングポイントに連れてこられる。一雄ははじめは渋々ながら徐々に未来を変えるために不器用ながら励み勤しむ。そこに現実世界では死を間近に迫ってる実の父が表れ同い年の朋輩となって何かと世話を焼きながら同行する。でも現実に戻れば何も変わってない。ファンタジー小説であるが現代だけではない普遍の親子関係の問題を考えさせられながら物語は進んでいく。

 

 

過去は変えられない、今も過去からの延長で事実は何も変わってない。しかしながら過去を受け入れ、現実を直視することで後ろ向きだった心がポジティブに変化する。ポジティブになればその後の行動も変わり未来も変えられる。
そんなメッセージに気づかしてくれる佳作である。