乱読サラリーマンのオリジナル書評

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書評:後妻業

 

後妻業 (文春文庫)

  

直木賞作家で映画化もされた作品。読む前から期待が膨らみます。

 

しかしながら、

登場人物は悪人ばかり

ノワール小説なのに人の死もナレーションのようにあっけない。

謎解きの語り部である元刑事も善人ではなく、ハードボイルド小説のような凛々しさも感じられない。

ミステリーというほど謎は深くなく、物語の行方も容易に予測でき、想像通りの結果になる。

それでもこの小説は面白い!

 

 

安易に説明すれば、登場人物の行動原理はすべてカネである。

カネのためには

人を殺める、騙す、和解を持ちかける、カネで釣って人を動かす。犯罪チーム内でも常にカネの話が蠢く。もっといえば犯罪チームというほど結束もしていない(笑)

 

本の題名からもわかる通り、結婚相談所の経営者と相談所の60歳を超えた女性会員が組んで、おとこ寡の資産家をターゲットに、相続資産をつぎつぎと略奪していく物語です。現実の事件でもぼちぼち訊く内容です。遺族の心情等にはそれほど深入りせず、話はすすんでいきます。

 

最低人種ばかりの物語であるが、大阪弁丸出しで漫才のようなトークが醸し出す雰囲気からなのか、暗い感じはせず、ワクワク感が漂い、時には苦笑いしながら先を先をと読み続けさしてくれる。

 

人とは弱い生き物である。カネへの執着心は誰の心にも存在しているものである。一歩間違えれば、誰もが登場人物のような行動をおこしてしまうかもしれない。