乱読サラリーマンのオリジナル書評

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【書評:全員経営(野中郁次郎・勝見明著)】イノベーションとは?

 

全員経営 ―自律分散イノベーション企業 成功の本質

 

経済成長、企業進展にイノベーションはかかせません。シュンペーターイノベーションを以下の5つに分類しました。

①新しい財貨の生産 (プロダクトイノベーション
②新しい生産方法の導入(プロセスイノベーション
③新しい販路の開拓(マーケットイノベーション
④原料などの新しい供給源の獲得(サプライチェーンイノベーション
⑤新しい組織の実現(オルガニゼーションイノベーション

また、シュンペーターイノベーションは少数の人間がリーダーシップを発揮してイノベーションを創造するものと想定しました。


昨今はiPhoneなどのように、それまでのゲームルールを刷新するような破壊的なイノベーションがもてはやされています。

 

本書では、シュンペーター同様にイノベーションは、企業の成長に不可欠としていますが、イノベーションの発生プロセスは、少数のリーダーシップではなく、全員経営と紐づけています。実は世界を代表する企業である、Googleシスコシステムズイノベーション創出と企業発展のために全員経営へと舵を切っています。

 

 

本書を読むと経営者の役割とは全員経営を実現するためにリーダーシップを発揮することとも捉えることができます。

 

それでは、全員経営とはどのような経営なのでしょうか?

 

共通善を持つ多様性のある組織こそが、組織的知識創造を行い、社会的価値を提供できる。だからこそ全員経営のあり方が最も根源的で究極的な姿になる(P295)

 

そこで質問です。
「戦略の優秀性」と「メンバー間のコンセンサス」双方とも成功する組織運営にはともに重要なファクターですが、どちらを重視するべきでしょうか?

 

一般的に不確定要素が多く、絶え間ない変化が続く乱世にはコンセンサスが取れた集団の方が良質な結果へと導きます。なぜなら不確定要素の強い乱世には完全な成功を約束できる不変の戦略などはないからです。

 

そのため、即時判断力で最適解をみつけることが肝要となります。それでは即時最適解は誰がみつけるのでしょうか。本書では現場の個々が即時最適解をみつける組織こそ強い組織と述べています。

 

いっぽうでは現場が常に最適解を見つけたとしても、良い最適解ばかりでなく組織側から見た個の勝手な暴走も想定されます。そのリスクを抑えるものこそ共通善です。共通善があれば、暴走を自制する、もしくは自制できなくとも、周りが暴走を抑えることができるはずです。

 

全員経営とは共通善があってこそ生きるものであり、共通善がなければ自律分散とはいえません。

 

それでは、自律分散組織で全員経営を実践すればイノベーション、それもゲームのルールを変えるような破壊的なイノベーションは生まれるのでしょうか?

 

生まれるかもしれませんが、生まれないかもしれない。ずるい答えですが・・・これが私の答えになります。なぜなら全員経営とはイノベーションの創出が目的ではありません。あくまでも企業の発展のための手法です。

 

自律分散型組織が組織の発展を目指した結果、イノベーションが創出されることがあるのです。イノベーションは目的ではなく全員経営実践の結果論。これが私の考えです。