【書評:APIエコノミー(佐々木隆仁著)】API活用で日本企業は世界に勝てるのか
APIという機能が最近注目されています。APIとは端的に述べると『あるソフトウェアの機能を別のソフトウェアなどに提供し、連携する機能』、ソフトウェアに蓄積されているデータの相互連携とイメージしても良いのではないでしょうか。APIの魅力は、企業同士の連携を効率よく作り出せる点です。IBM社の試算によりますとAPIに関連する市場規模は250兆円にものぼるようです。
本書は技術者以外でも簡易にわかりやすく記した、APIの入門書であり、APIの取引所の開設などの提言だけではなく、APIが日本企業に向いているツールであるとも述べています。
Apple社がiPhoneで世界を席巻した時、よくビジネス上で話題になった事柄があります。iPhoneの個々の機能などは日本の企業でも充分創発は可能でしたが、日本の企業ではなく、Apple社がスマートフォンをいうイノベーションの利得を勝ち取りました。組み合わせをしてイノベーションを起こし、マーケットに参入したのがApple社であり、Apple社の現在の成功を見れば既存の機能やサービスを組み合わせるということが、今の世の中に重要な意味があるとも考えれれます。
ものつくり大国といわれた日本の製造業の競争力の源は摺り合わせ(インテグラル)型の技術と言われてます。摺り合わせ型の技術とは様々なパーツを相互調整しながら総合的に良質な製品を作り上げる技術です。自動車や精密機械が代表的な製品です。
いっぽう摺り合わせ型と対比される単純な部品の組み合わせであるモジュラー型の製品(androidスマートフォンやパソコンなど)は既に中国、韓国、台湾などのグローバル企業にコスト競争力に太刀打ちできない状況です。
果たしてAPIの活用で日本企業が世界に羽ばたくことはできるのでしょうか?
世界に羽ばたく条件は、日本企業が競争優位性を持っている摺り合わせ技術を駆使したAPIの活用ができるのか、否か・・・
そこが焦点のような気がします。