乱読サラリーマンのオリジナル書評

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【書評:サッカーと愛国(清義明著)】 スタジアムは社会の縮図なのか・・・

サッカーと愛国

 

世界で最も人気のあるスポーツはサッカーです。いっぽうでその事実は、世界で最も影響力の大きいスポーツともいえます。

実はFIFA国際サッカー連盟)にIOC国際オリンピック委員会)さらには国連これらの加盟国数をみると一番加盟国数が多いのが実はFIFAです。世界中の人を惹きつける磁力の源は何なのでしょうか。
 

人は本能的に対戦という魔物に惹かれます。さらには競技としてスタジアム内の試合そのものだけではなく、歴史的背景や文化を融合させることで、人はより一層惹かれ熱狂していきます。しかもサッカー専用スタジアムは観客と選手がいるグランドが近接しているのも他のスポーツにはない特質です。


また、通常他のスポーツでは応援者を「ファン」と呼ぶのに対し、サッカーでは「サポーター」と呼びます。通常サポーターは応援するだけではなく、チームへ意見を持ち、時と場合によってはチームを弾劾することもあります。

 

 

上記を踏まえても、サッカーは、選手と選手以外が他のスポーツと比べ密接に関わりあっているスポーツといえるでしょう。

サッカーにおいて戦い(試合)には二つの系統が存在します。
一つはW杯を頂点としたナショナルチーム同士の戦いがあり、
もう一つはクラブワールドカップを中心とした、サッカークラブ同士の戦いです。

 

興味深いところは、レイシストによる不快な行為は、ナショナルチーム同士の戦いだけではなく、クラブチーム同士の戦いでもが起こること。そしてその事象は戦っている選手だけではなく、サポーターからも起こることです。その結果はテクノロジーとメディアの発達によって個人を断定して瞬く間に全世界に広がります。

 

民族や人種など人の根本的な属性に基づく差別行為は許されるものではありません。しかしながら、歴史的背景などを鑑みると話し合いだけで悲しい行為が無くなるほど単純な図式でもありません。

 

世界経済ではグローバル化が進展し、国民国家が衰退しつつある現代において、差別の撲滅は残念ながら、まだまだ困難だと言わざるを得ません。人は所属する集団を求めるものだからです。


有名なマズローの欲求階層説では、食欲などを充たす生理的な欲求と衣や住を充たされた安全欲求が充たされると、つぎに所属や友人を求める社会的な欲求を充たすことを求めるといわれています。今となっては批判的な意見も多い欲求階層説ですが、人が所属を求め、承認されたいという社会的な欲求の存在そのものを否定することはできません。

 

日本においては未婚・晩婚化が進みシングル生活者の比率の増加も進んでいます。且つ会社においても終身雇用や年功序列などの日本的雇用が崩れた今、心を傾けられるコミュニティというのは少なくなっているのではないでしょうか。
さらには集団に認められるための立ち振る舞いの仕方は、個人によって微妙に相違します。自陣営を称えることと、他陣営を貶める行為は隣り合わせです

コミュニティが希薄になりつつある現代こそ、サッカーの持つ、容易く人々を団結しやすい機能を活用して人種差別という邪悪な行為を撲滅することを祈ります。

国連・IOCをも凌ぐ組織体である、FIFAの更なる奮励に期待したい。