乱読サラリーマンのオリジナル書評

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【書評:キリンビール高知支店の奇跡】現場力とは何か

キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)


心が変われば行動が変わる

ここでいう心とは意識のことです。
それでは、会社という自分の思い通りにならない集団生活で会社の成功に沿った方向へ意識を変えることは簡単に出来るのでしょうか。変えるのが難しい魔物を自ら簡単に変えられるのでしょうか・・・。例外を除けば普通の社会人の方々にとって答えは否である。決して大人の意識は簡単には変わりません。

だからこそ、会社において管理職というのは存在する価値があるのでしょう。1人では簡単には変えられない人の意識を変えるフォローをする。そもそも会社というのは、どこにでもいる普通の人たちが営む集団であり、プロスポーツオールジャパンのような超一流だらけの集団ではありません。

 

本書では高知支店の成功を起点にキリンビールがシェアトップを奪い返すまでの熱いビジネスパーソンの軌跡を関係者の視点から書かれています。

 

元々キリンビールは、ライバルの追随を許さないビール業界のガリバーとして君臨していました。スーパードライの爆発的ヒットによりアサヒビールにトップシェアも奪われ、対抗策として、キリンの象徴的銘柄といえるラガーの味の変更も失敗となり、従来顧客にソッポを向かれます。

 

そんなとき営業拠点の長はリーダーシップとして何を目指すべきでしょうか?

 

 

一つ目は当たり前のことを当たり前にできる組織にする。そのためには、当たり前の行動を皆で共有し、コミットする。当たり前は顧客との接点の場と回数を増やすことになります。

 

次の取り組むべきは、目標となる結果を求めて現場の情報力と想像力を組み合わせて活かす。その結果、自律分散的な高度な現場力が発揮されることになります。

 

重要なことは、当たり前をできるようにする第一段階と自律分散的な組織となる第二段階の順序を変えないことではないでしょうか。ルール、コミットを守れない組織で個々の構成員が自分のアイデアのみで、勝手気ままに動いては、組織はまともな結果はでません。ただ甘やかされているだけの組織になることでしょう。

 

惜しむらくは、営業現場の変革にフォーカスした内容になっております。現場の責任者として本社と対峙した著者が本社に赴任した後に大企業であるキリンビール本社社員の意識変革までの取組までは、描かれてないのがやや残念です。